あなたがこれから始めるビジネスは、どんなビジネスですか?
物販、飲食、ものづくり、美容・理容、マッサージ、エステ、塾、病院、保育園、幼稚園、教育、建築・設計、工事、IT、コンサルティング、ネットビジネス、言い出したらキリがないくらい多種多様なビジネスがあります。
それは組み合わせることでこれまで無かったビジネスにもなり得ます。
インターネットが1990年代に日本に浸透し始めた時、インターネット上で頻繁に買い物をする時代がくるとは、多くの人が想像していなかったでしょう。
そこからたかだか20年でビジネスは大きく様変わりしました。
それまでは「店舗に出向いて買い物をする」というエリア限定の小売スタイルでしたが、「小売」と「インターネット」を組み合わせてこれまで無かった「ネット通販」というビジネスが作り出され、楽天やAmazon、ZOZOなどの会社がその新しいビジネスで大きく成長しました。
また、既存のビジネス×シェアリングエコノミーの組み合わせも、この5年で多く出てきました。
複数人で家をシェアしたり、自分が持ってる物件を宿泊所として提供したり、車をシェアしたり、自転車をシェアしたり、オフィスや会議室をシェアしたり、おもちゃをシェアしたり。
これらは、貸したい人と借りたい人をつなぐことが、インターネットを活用することで簡単にできるようになったらから実現したビジネスです。
レンタカーって昔からありますよね?あれとインターネットを組み合わせたら、タイムズが提供するカーシェアができるようになったわけです。
これから先5年くらいのビジネスはシェアリングエコノミー(インターネットを介して個人と個人の間で使っていないモノ・場所・技能などを貸し借りするサービス)がキーワード。
それを踏まえて、改めてあなたのビジネスを考えてみてください。
起業についてはこちらの記事で解説しています。
もくじ
1. あなたのビジネスは「固定の場所」を必要としていますか?
あなたが始めようとしているビジネスは何ですか?
さきほどいろいろ例を出しましたが、10年くらい前までは「固定の場所」を必要とするビジネスがたくさん存在しました。
あなたが今、始めようとしているビジネスは「固定の場所」が必要ですか?必要だと思い込んでいませんか?
1-1. 店を持つということは
店を持つということは、「場所を昔ながらの方法」で借りることになります。
借りる時に必要なお金は、敷金、礼金、仲介手数料、内装工事費、看板工事費、許認可の費用、什器(陳列棚とか)、レジ・パソコンなどの業務用の物・・・。僕は大きめの物件を借りてしまったので、500万円を一気に使いました。それでも面積的には安いほうです。
継続して必要なお金(固定費)は、家賃、共益費はもちろんですが、電気、水道、ガス、インターネット、電話、ウォーターサーバーなどはほぼ毎月、同じくらいのお金が出ていきます。
人件費もそうですね。人を雇えば、店で物が売れようが売れまいが関係なく1時間に1,500円くらいお金が出ていきます。
さらに詳しく!
時給1,000円だとしても、各種保険とか考えると、1.5倍で考えておいたほうが良いです。
もっと細かいことを言えば、トイレットペーパーとか、手を拭く紙とか、ファブリーズとか、こまごまとではありますが、店舗があることによって発生する消耗品が存在します。
店舗を持つことは、憧れではあると思います。
でも今一度、踏みとどまって「場所を持たずにできないか?」という点をよくよく考えて下さい。熟考してください。
1-2. 例えば「物販」
物販は特に「場所」もしくは「商品」が格段に良くなければ、店舗を持つことは大きなリスクになります。
今は、ネットで売れますよね?
良し悪しは置いといて、Amazon、楽天、メルカリ、ヤフオクなど誰もが知ってるサービスを活用すれば簡単に販売が可能です。
もう1ステップ上を目指すなら、自分のwebサイトを作成し、自分をブランド化しましょう!簡単に言えば、他の物と横並びではなく、「あなたの物が欲しい!」そう思わせる状態を作っていきます。
SEOやGoogle Adwords、各種メディアの広告枠を買ったり、人を集める方法はいろいろあります。
この記事では項目出しだけにしてしまいますが、集まっているユーザや商品との相性もあるので、どの宣伝方法が良いとは言えませんので、お考えになられている商品に合わせて戦略を立てましょう。
1-3. 例えば「飲食」
飲食も物販と同様に「場所」もしくは「飲食物」が格段に良くなければ、店舗を持つことは大きなリスクになります。
固定の場所を持たないで飲食業を行う方法はいくつかあります。
シェアキッチンという言葉を聞いたことはありますでしょうか?
調理器具が揃ったキッチンスペースを時間ごと、日ごとに貸し出してくれるサービスです。食べるスペースがあるシェアキッチンもあります。店長が日によって替わるカフェやレストランができますよね!
こちらのサイトではシェアキッチンを検索できます。まだまだ数は少ないですが、今後広がっていくでしょう。
また、提供するものよってはキッチンカーという手もあります。もちろん車両費と改造費はかかりますが、場所を借りるよりは低リスクです。
出店場所については、例えば以下のようなサイトで探すことができます。
1-4. 例えば「美容室」
誰を対象にするかによって場所が必要か、必要でないかが分かれます。
美容師法第7条を読むと、自宅やそれに類する場所での散髪は、要介護認定されている人(つまり、自分で美容室に出向けない人)に限られるんです。
訪問美容専門であれば、固定の場所を準備する必要はありません。高齢者向けの様々な施設が増えていることもあり、今後も確実に伸びるでしょう。
逆に健常者を対象にする場合、場所は必要です。その場所はその時だけ借りても良いわけです。
美容室を持つ人と個人事業主として契約し、予約が入った時だけその美容室で髪を切り、売上の何割かを場所代として支払うというやり方があります。それを売りにしている会社もありますし、個人的にそうしている美容室のオーナーさんもいます。これも「シェア」ですね。
どこかの美容室で固定客を掴んでいて独立するとか、あなたしか出来ない技術があるのであれば、固定の場所は持たなくてもできそうですね。
ここに注意!
この方法だと、飛び込み客の対応はなくなります。新規顧客の開拓は、自分のブランディング次第です。
例えば「あなたしか出来ない技術」がもしあるなら、ブランディングもしやすいですね。美容関係である必要はありません。これも組み合わせです。整体の免許を持ち、一緒に施術もできるとか、英語がネイティブ並に堪能とかいう特異な技術から、ネイルもできますとか。
1-5. 例えば「塾・習い事」
塾や習い事も10名くらいまでは貸し会議室でできます。
週1~2回、各回2時間だったら、貸し会議室などで借りた方が断然安いです。日によって時間や場所が変わるのでは成り立ちませんので、数カ月先まで予約しておくのが良いですね。
大手塾は、保護者がそのネームバリューだけで通室を決めることも多くありますが、あなたが個人で始める塾は、あなたの経歴と経験と人柄で通わせるかどうかを決めます。場所が貸し会議室だろうと関係ないわけです。
児童・生徒が増えたら固定の場所を作っても良いかもしれませんが、「児童・生徒が来ない時間、その場所をどう使うか」も合わせて考えましょう。学校が終わらなければ子ども達は来ません。
朝から午後3時くらいまでの8~9時間くらいの時間をカルチャースクールの場所として時間貸しするとか、教育という分野で組み合わせればより収益化できますよね。
1-6. 例えば「IT企業」
僕はもともと某IT企業で学校向けシステムのサポートと営業を担当し、たまにSEのマネごともするような、いわゆる「なんでも屋」をしていました。都内の会社には月に1回か2回くらいしか行かず、自宅近くのコワーキングスペースを拠点に仕事をしていました。
電話は携帯電話がありますし、メールは当たり前に受け取れていました。会社のネットワークには認証の仕組みを入れて外部から接続し、システム保守用ファイルもダウンロードでき、コミュニケーションには会社のチャットツールを使っていました。
その某IT企業は、行政を相手にしていることもあってどちらかと言えば固い社風。それでも相談すればそんな働き方もできました。
今、なんらかのインターネット関連のサービスを作るのであれば、レンタルサーバとかクラウドとか、「物」を持たないでリソースだけ借りることもできます。ドメインを取ればメールもできるし、携帯電話で市外局番の番号で発信できるし、パソコンからFAXも送れます。紙で届いた請求書はスキャンしてデータ管理。(請求書自体は、ダイソーで書類入れを買ってきて家に置いておきましょう)。
ご自身はコワーキングスペースを拠点にすれば良いですね。住所利用や登記できるコワーキングスペースもありますので、場所どころか、物もほとんど必要ないかもしれません。
1-7. 場所を必要とする事業はもちろんある
さきほど挙げた中だと、保育園、幼稚園あたりはさすがに「固定の場所」がないとできませんね。中にはそういう「固定の場所」が必要な事業もあります。そうした場合も、「どうすればできるだけ安くおさえられるか」という点に頭を使いましょう。
例えば、駅前で保育園を起業するメリットは、「行きに預けやすい・帰りにお迎えしやすい」「周辺に住んでいる人が多い」あたりだと考えますが、保護者が預ける場所と、子ども達が夕方まで過ごす場所は同じである必要はないわけです。
「保護者が預ける場所」を駅前に準備しておき、集まったらバスで郊外の園に向かい、帰りはまた「保護者が預ける場所」にバスで戻ってくれば、駅前に大きな「固定の場所」(=高額の賃料が発生する場所)は要りませんね。(もちろんいろいろルールを作る必要はあります。バスは30分に1本とか、保護者は到着時間がわかったら知らせるとか。)
駅前の広くない場所で1日を過ごすか、郊外の広くかつ自然の多い場所で1日を過ごすか。それはそれで他との差別化になりますしね。
また、許認可が必要な業種は「固定の場所」がないとNGでしょう。弁護士とか、税理士、司法書士、宅地建物取引業など。バーチャルオフィスでもNG出されるかもしれませんね。
これはもうしょうがないので、安いところを探して借りましょう。
2. まとめ
事業によって大きく違うので一概には言えませんが、これまで「固定の場所」が必要とされていた事業でも、工夫と考え方を変えることで、「固定の場所」が無くても実現できるようになりました。
強いて問題点を挙げるとすれば、「固定の場所」が無いと銀行口座が作りにくいかもしれません。ネットバンクは比較的作りやすいですが、数年前までは特に地銀や信金などには拒否されることも多いようでした。
都市圏ではコワーキングスペースの住所でも、きちんと業務を行っている会社であれば口座が作れるようになりましたが、地方に行くとまた違うかもしれません。
いずれにせよ、都市圏にせよ地方にせよ、「固定の場所」は多額の初期費用と、月々の固定費が発生します。
無いに越したことはありません。
これだけシェアリングエコノミーが浸透している世の中ですので、工夫と考え方を変えることで初期の費用を抑え、まずはビジネスを成長させることに注力しましょう。