こんな方に読んで欲しい!
- 飲食店を開業するには、どんな資格が必要なの?
- 飲食店を開業するために必要な手続きを知りたい!
あなたが、「自分の店を持ちたい!」と考えているのであれば、1つ1つハードルを確実にクリアしていく必要があります。
特に、それが飲食店であればなおさらです。
お店のコンセプト設定やマネジメント方法なども重要な要素ですが、その前に飲食店を開業する上で必要な資格、手続きを知っておきましょう。
今回は、飲食店を立ち上げることを想定し「飲食店の開業に必要な資格」と「行うべき手続き」を徹底解説します!
1. 飲食店を営むために必要な資格
飲食店を営むために必要な資格は2つです。必須だと思われがちな調理師免許は無くてもOKです。
1-1. 必要な資格①「食品衛生責任者」
「食品衛生責任者」とは、「食品衛生法に定められた営業許可(食品営業許可)」を受ける食品の調理・製造・加工・販売を行う施設ごとに配置する必要がある有資格者です。
1人の人が、複数の店舗・施設の「食品衛生責任者」を兼任できないため、要注意です。
この「食品衛生責任者」の資格は、都道府県や市の食品衛生協会等が管轄する公的資格です。次の2つのどちらかを満たすことで取得できます。
- 医師(歯科医師)、薬剤師、獣医師、栄養士、調理師、食品衛生管理者、食品衛生監視員の資格を持っている者や、食品衛生指導員又は食品衛生指導員であった者、他の都道府県等において食品衛生責任者の資格を有していた者
- 自治体の保健所が実施している食品衛生責任者養成講習会を修了した者
自治体によって少し異なりますが、17歳以上であれば誰でも取得することができます(一部、高校生不可の自治体があります)。一度取得すれば有効期限はないので、将来飲食店をご自身で開業しようと考えている場合は、時間のあるうちに取っておくと良いでしょう。
参考に、一般社団法人 東京都食品衛生協会の「食品衛生責任者育成講習会」のリンクを貼っておきます。
他の自治体の方は、「食品衛生責任者 ○○県」などで調べてみてください。
ここに注意!
「食品衛生責任者」と「食品衛生管理者」は、似ていますが異なる資格です。「食品衛生管理者」は「製造又は加工の過程において特に衛生上の考慮を必要とする食品又は添加物」を扱う場合に必要となる国家資格で、
- 全粉乳(容量が1,400g以下である缶に収められるものに限る)
- 加糖粉乳
- 調製粉乳
- 食肉製品
- 魚肉ハム
- 魚肉ソーセージ
- 放射線照射食品
- 食品油脂(脱色又は脱臭の過程を経て製造されるものに限る)
- マーガリン
- ショートニング
- 食品衛生法第11条第1項の規定により規格が定められている添加物
以上のような食品・添加物の製造又は加工を行う施設に置く必要がある資格者です。今回は、この「食品衛生管理者」の解説は割愛します。
1-2. 必要な資格②「防火管理者」
「防火管理者」は、多くの人が出入りする建物で火災が発生しないように管理する責任者です。飲食店に限らず、学校や病院、工場、百貨店なども「防火管理者」を配置する必要があります。
建物の種類や広さによって取得する資格の種類が異なり、甲種と乙種があります。
単独店舗(その建物にあなたの飲食店しかない店舗)で収容人員が30名未満の場合は、該当しない可能性が高いです。
もしテナント(複数の店舗が入居する建物に入る場合)として出店するのであれば、その建物が「特定用途の防火対象物」の場合は、少なくとも乙種が必要となります。
細かな要件がありますので、あなたの考えている店舗が該当するかどうか確認してみてください。
参考に、東京消防庁の該当ページへのリンクを貼っておきます。
「防火管理者」の資格に有効期限はありません。一度取得すれば永久的に保持することが可能となります。
ここに注意!
ただし、「甲種防火管理者」は5年ごとに資格の再講習が必要となる場合があり、詳細は出店エリアの消防署に確認してください。
1-3. 調理師免許は要らない
実は、飲食店を開業するにあたって調理師免許は必要ありません。調理師免許を持っている人を配置することも義務付けられてはいません。
「調理師免許」は、食品に関する栄養の知識や衛生管理ができるものとして証明できる資格ですので、飲食店の料理人としてこの資格を持っておくことでお客さんから信頼されやすくなることは事実ですね。
「調理師免許」を取得するには、以下の2つの方法があります。
- 調理師の専門学校へ行く
- 実務経験を積んで資格試験に合格する
どちらの場合も、当然、授業料や学校に通う時間が必要です。
あなたは、これから食べに行く飲食店のオーナーが、調理師免許を持っているかどうか気にしたことはありますか?
有ろうが無かろうが、「衛生面に問題がなく、美味しい料理が食べられれば良い」という人の方が多いでしょう。この資格の取得は、そこまでこだわらなくても良いでしょう。
ここがポイント!
どうしても「調理師免許」を取得したい!考えているのであれば、まずは飲食店を経営して実務経験を積んでから資格試験の合格を目指してみると良いでしょう。
2. 飲食店を開くために必要な手続き
あなたが取得するべき資格の他に、飲食店を開く時に必要な手続き(許認可の申請)があります。
あなたの状況や飲食店を開く場所、営業時間、業態などにより異なりますので、該当するかどうか確認してみてください。
2-1. 食品営業許可(重要)
飲食店を開くのであれば、「食品営業許可」は絶対に必要な許認可です。完成の2週間前には申請しましょう。
ただしいきなり申請するのではなく、内装工事の着工前に設計図や設備関連の資料を持って保健所に相談しましょう。
申請が初めてであれば、わからないことだらけです。
- どんな書類が必要か
- どういった点に気を付ければ良いか
出店エリアによって状況が異なりますので、人間関係の構築という意味も込めて、必ず事前相談に行ってください。
なお、保健所の検査は、あなたの立会いのもと店舗に検査が入ります。店舗が申請図面と相違ないか、基準に合致しているかを確認します。当たり前ですが、基準に適合しない場合は許可になりません。
2-2. 防火管理者選任届
「1-2. 必要な資格②」でも出てきた「防火管理者」です。
講習を受けて資格を取得したら、管轄の消防署に届け出ましょう。
単独店舗の場合は収容人数が30人以上の場合、建物に1つのテナントとして入る場合は、必要となる可能性が高いです。
2-3. 火を使用する設備の設置届
開業する自治体の条例(例:火災予防条例)で「火を使用する設備の設置届」が必要な場合がありますので、これも管轄の消防署に確認してください。
2-4. 深夜における酒類提供飲食営業開始届
あなたの開業する店舗が、
- 「スナック」「バー」「居酒屋」など、お客さまに主として酒類を提供する業態
- かつ、深夜0時以降も営業する場合
は、「深夜における酒類提供飲食営業開始届」を管轄の警察署に届け出る必要があります。
例えば、あなたがイタリアンのお店を出店する予定で、パスタなどの食事の提供を主として営業する場合は、ワインを提供していたとしても届出は不要です。
簡単に言えば、「お酒メインかどうか」です。お酒メインで0時以降も営業する場合は、届け出てください。
2-5. 風俗営業許可
あなたが作ろうとしている店舗では、スタッフがお客さまを「接待」することが想定されますか?
ここでいう「接待」とは、
- 特定の客、またはグループに対して
- 食事の提供以上にサービスを提供すること
を言います。
もっと噛み砕いて言えば、スタッフがお客さまの隣に座ってお酒を作ったり、話し相手になったり、ゲームをしたりするなど、「食べものや飲み物を提供する」以上のサービスを提供する場合は該当します。
さらに詳しく!
- あなたが開業する業態が「ラーメン屋」で、カウンター越しにオーダーされたラーメンを作り、来られた常連客と少しずつ(まんべんなく)会話するのであれば、もちろん該当しません。
- あなたが開業する業態が「バー」で、カウンター越しにオーダーされたお酒を作り、来られたお客さまと少しずつ(まんべんなく)会話するのであれば、やはり該当しないでしょう。
ここがポイント!
ちなみに、「風俗営業許可」を申請する店舗の営業時間は、風営法により朝6時から深夜0時までとなっています。そのため、「風俗営業」と「深夜における酒類提供飲食営業」は、同じ店舗で行うことが原則できません。
お酒を提供する場合、店舗の方向性を先に決めておく必要があります。
2-6. その他
すでに届け出ている場合は不要ですが、
- 個人事業の開廃業等届出書
- 社会保険の加入手続き(従業員を雇用する場合)
なども必要に応じて届出などを行いましょう。
3. まとめ
飲食店を開業するために必要な資格
- 食品衛生責任者
- 防火管理者
また必要な許認可
- 食品営業許可
- 防火管理者選任届
- 火を使用する設備の設置届
- 深夜における酒類提供飲食営業開始届
- 風俗営業許可
などについてまとめました。
数としては、資格が2つ、許認可が5つ。少なく感じるかもしれませんが、1つ1つに意外と時間が取られるものばかりです。特に「食品営業許可」は少なくとも2週間、「風俗営業許可」は60日前後かかります。
開業前準備期間は無収入となる場合が多く、その期間はできるだけ短くしたいものです。
できるだけ現職のうちに(収入のあるうちに)資格取得や届出などの準備を進め、短時間で開業できるよう、しっかりと計画し、1つ1つハードルをクリアしていきましょう!