事業のはじめ方

年に1度しか決められない!?役員報酬の決め方を徹底解説!

こんな悩みをお持ちではないですか?

  • 役員報酬が支払われる『役員』ってだれのこと?
  • 役員報酬ってどうやって決めるもの?
  • 役員報酬と税金との関係は?

 

日産のゴーン元会長の逮捕劇は一企業の問題から日本の司法問題にまで発展し始めています。

ですが、もともとゴーン元会長はなぜ逮捕されたのか、ご存知ですか?

簡単に言えば、『自分の役員報酬を少なく申告していた』ことが理由です。

 

このことを少し説明すると、日本には役員報酬開示義務というものがあり、コーポレート・ガバナンス強化の一環として2010年3月期から有価証券報告書への記載が義務付けられています。

ゴーン元会長は、有価証券報告書に自身の役員報酬を2010年3月期~2018年3月期に至るまで、合計約80億円を意図的に過小に記載していたことが判明しました。

金融商品取引法では、有価証券報告書の虚偽記載は個人に対して1,000万円の罰金あるいは10年以下の懲役、あるいはその併科と決められています。

 

少し難しい話になってしまいましたが、ゴーン元会長が虚偽記載していたという、この役員報酬の報酬額はどうやって決められているのでしょうか?

日産の危機的状況を救ったゴーン元会長くらいの立場があれば、自分で決めてしまうことも可能だったのでしょうか?

今回はそんな役員報酬についてお話ししていきます。

 

1. 役員報酬とは?

役員報酬は言葉のままで、役員に支払われる報酬です。

では役員とは誰のことなのでしょうか?

取締役と言われる方たちが役員だと理解している人は多いと思いますが、改めて法人税法で決められている役員について説明します。

1-1. 役員とは

株式会社には最低でも1名以上の役員(取締役)を置かなければいけないと決まっており、そして株式会社の商業登記簿には必ず役員が記載されています。

ただ役員報酬を受け取る「役員」というのは登記簿上の役員ではなく、法人税法で定められた「役員」となり、範囲が広くなっています。

法人税法で定められている役員の範囲

  1. 登記簿には名前はないが、実質的に経営者と同じ業務を担っていると判断される場合
  2. 会社の屋台骨を支えている重要な取引相手に対し、単独で決裁権を有している場合
  3. 金融機関から融資などを受ける際の決裁権を単独で持っている場合

つまり、登記簿で「役員」と記載されている人以外にも、会社の経営判断や融資という非常に重要な決裁権を所有している人は法人税法上では「役員」となり「役員報酬」が支払われることになります。

 

また「みなし役員」という税金面での運用の際に役員として数えられる人もいます。同族会社の従業員のなかで、定められている一定の要件を満たしているすべての人や、会社の株主である代表取締役の家族などです。

ここがぽイント!

登記簿は会社関係者でなくても見ることができますので、一度見てみると勉強になりますよ!

 

1-2. 役員報酬とは

では役員報酬とは、働いている従業員がもらう報酬と何が違うのでしょうか?

企業は、従業員に支払われる給与とは別に役員報酬について設定しておかなければいけません。

従業員への給与は労働した分の見返りとして支払われるものですが、役員報酬は役員となっていることに対する報酬です。

従業員に支払われる給与は役員には支払われず、同時に残業代や休日手当などの手当は役員報酬には含まれません。毎月決められた額が役員報酬として支払われるので『定期同額給与』という支払い方法となっています。

 

2. 役員報酬の決め方

 

起業したら、あなた自身が代表となるので、当然あなたは役員報酬を受け取ることになります。

会社の役員になったら社会保険に加入する義務がありますが、保険料の算出には役員報酬の金額をいくらにするのかが関わってきます。従業員としての給与でも役員報酬でも、健康保険・厚生年金の保険料は収入によって変わってくるのは同じです

 

2-1. 役員報酬を決める手続き

起業して会社を設立して、役員報酬を決めるときは次の手順で決定していくことになります。

  1. 役員報酬のルールを確認する
  2. 株主総会(社員総会)で決議を行う
  3. 年金事務所に社会保険加入の書類を作成・提出する
  4. 役員が居住している市区町村へ住民税の届出をする

経費として認められる範囲での役員報酬を決定したら、株主総会(合同会社の場合は社員総会)を開催して、金額の決議、会社の出資者の承認を得ます。報酬が決まったら社会保険加入の手続きと、住民税の届け出が必要となります。

個人事業主であれば、稼いだお金は全部自分のお金です。しかし会社の場合は、会社のお金はあくまで会社のお金であり、社長やその他役員のお金ではありません。

この役員報酬の考え方は、社長一人の会社であっても何ら変わりません。

会社と社長個人は別のものです。会社のお金=社長のお金ではありません。

 

2-2. 役員報酬を決めるときのルール

役員報酬を決めるときのルールは、たった2つだけ、とっても簡単です。

  1. 原則として事業年度を通して一定額にすること
  2. 役員報酬の変更は、会社設立時(翌期以降は事業年度開始)から3ヶ月以内のみ可能

1のことを定期同額と言います。

額面の金額と手取り金額が同一であることも定期同額の条件となります。

 

2に関しては、会社設立時には役員報酬額を決めておかなくても大丈夫ということです。ただ売り上げの見通しも立たない状態で決めなければいけないのは、3ヶ月経っても同じです。

報酬の金額によって社会保険料・所得税・地方税などの税金が大きく変わってくることになるので、慎重に検討しましょう

もちろん、役員報酬の相場は会社によってそれぞれなのですが、創業期に限れば20万円~30万円ほどで設定しているケースが多いようです。

会社の様子を見ながら、生活ができる程度の収入を設定しているようですね。

最初の段階で売り上げがある程度予想できている場合は、60~80万円のレベルで役員報酬を設定する会社もあります。

さらに詳しく!

毎月の役員報酬の金額が自由に変更できると、決算前に会社の利益を調整できてしまうため、上記の役員報酬のルールが定められています。

 

2-3. 起業してから3ヶ月経ってしまった場合

実は会社設立時(翌期以降は事業年度開始)から3ヶ月を超えてからも、役員報酬の支給額は変更できます。ただし、その場合には、法人税の計算上でペナルティが発生します。

毎月同額(定期同額)でない部分が、法人税の計算上で経費(損金)として認められなくなってしまうのです。

つまり、年度の途中から役員報酬を増額した場合は、その増額した分が、減額した場合は減額前の金額が経費としては認められなくなります。

 

従業員の給与は労働時間・労働日数によって給与金額が変化しますが、それらはすべて会社の経費として認められるものです。しかし、役員報酬は毎月金額が変わってしまっては経費として認められません

その上、役員報酬を支払われた役員にとっても、所得税だけかかってしまうというデメリットしかありません。

双方にとって得なことではないので、支給額についてはしっかり決めることが必要です。

 

ただ例外的に事業年度の途中でも役員報酬を変更することは可能です。

それは以下の場合です。

  • 業績悪化・病欠などやむを得ない場合
  • 昇格した場合

国税庁は「業績悪化・病欠などやむを得ない場合」での減額について「役員給与に関するQ&A」でこのように答えています。

「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいいますので、財務諸表の数値が相当程度悪化したことや倒産の危機に瀕したことだけではなく、経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じていれば、これも含まれることになります。

引用元:国税庁

つまり倒産するほどではなくても、明らかに業績悪化が認められる場合は減額が認められるということですね。

懲戒・病気・産休の場合も減額は認められます

また「昇格した場合」は増額が可能です。代表取締役社長の交替などがこれに当たります。

ここに注意!

昇格によって業務への権限と責任が増すことによる実態を鑑みて、増額OKという扱いになっているので、ただ肩書を変更すればいいわけではないので気をつけましょう。

2-4. 役員に賞与を付与することは可能?

従業員にはボーナスがありますが、役員にはボーナスは認められるのでしょうか

例えば最初は役員報酬を低めに設定していたけど、業績が伸びたので多く支払いたい。しかし役員報酬を変更すると税金上で不利益となる。

このような場合は、どうすればいいのでしょうか?

 

役員賞与を支給する場合は、株主総会で決議した上で事前に税務署に届出することが必要となっていて、期限は以下のように決められています。

  1. 事業年度開始から4ヶ月以内(設立初年度は2か月以内)に税務署に届出をする
  2. 役員賞与を決議した株主総会から1ヶ月以内に税務署に届出する

ここに注意!

事前の届出どおりの「金額」「時期」に役員賞与を支給しないと、税金計算上の経費(損金)となりません。

つまり役員賞与を出すことは認められますが、それについても支払う金額や時期について提出をしておかなければならないということになります。

 

3. 役員報酬と税金との関係

 

役員報酬の金額は好きなように設定できますが、会社を継続していく上で税金のことを考えておかないと後で困ることにもなりかねません。

役員報酬と税金との関係を簡単にお伝えしていきます。

 

3-1. 法人税・所得税との関係

役員に報酬をたくさん支払えば、会社に残る資金は減ることになり、逆に役員報酬を少なくすれば、会社に残る資金は多くなります。

役員報酬に対しては所得税がかかり、会社に残る金額に対しては法人税が課税されます

所得税と法人税、両方の税額を考えて役員報酬の金額を決めるようにしてください。

 

3-2. 事業計画との関係

会社設立後3ヶ月以内に、役員報酬額は決定しなければいけません。

もし当初予定したよりも業績が好調の場合は、役員報酬を支払った後の会社に残る資金が多くなります。そうなると当然ながら納税額も多くなります。

しかし売掛金などのように、会社に資金が入ってくることが数か月単位で遅れると、会社に残る資金は少ないにもかかわらず、支払う税金額は利益を基準となって計算されるので金額が多くなります。

ここに注意!

ここで説明したのはあくまで簡略化したものです。事業計画・業績などに関わってきますので、不安な方は税務署に相談しましょう。

 

4. まとめ

役員報酬は好きに決めることができるものですが、1年間は同じ額を支払い続けなくてはいけませんし、同時に自分を含めた役員たちも生活しなくてはいけません。

ルールを守ることはもちろん、役員の生活費とのバランス・税金との関係・業績の見込みなどをしっかり考慮した上で決めないといけないのです

役員報酬は会社が支払う税金にも大きく影響しますので、業績自体に影響をもたらしますが、すぐに金額を変更できるようなものではありません。

きちんと仕組みを理解した上で、経費として計算されるような報酬の支払い方をしなければなりません。

 

役員報酬の改定は、登記(役員再任登記・就任登記)とセットで行うことがほとんどですし、その他の周辺知識(社会保険等)も必要となりますので、信頼できる税理士を見つけておくというのも必要なことでしょう。

起業する時には、役員報酬以外にもいろいろ決めないといけないことが多いうえに、会社の売り上げのことも考えないといけません。
いざ起業してから慌てることのないよう、前もって考えておきましょう。

\参考になったらポチッとお願いします!/

-事業のはじめ方
-, , ,

© 2020 インターネットビジネスラボ