こんな方に読んで欲しい!
- 定款に記載する事業目的の書き方がわからない!
- 定款に記載する事業目的のサンプルを見たい!
法人を設立する際に作成する「定款」は、「会社の憲法」とも呼ばれています。
この定款の中に「目的」という項目があり、ここに書いた目的(事業目的)に含まれる事業を行うことができるようになります。
逆に言えば、定款に書かれていない事業は行うことができません!
主として考えている事業の他にも、可能性の高い事業、関連のある事業は多すぎない範囲で書いておくことをおすすめします。
今回は、目的(事業目的)の書き方と、事業目的のサンプルを業種別に徹底解説します!
もくじ
1. 目的(事業目的)の書き方
インターネット関連の事業を行う法人を想定して、定款の目的(事業目的)を作成してみました。
定 款
第1章 総則
(商号)
第1条 当会社は、〇〇〇〇株式会社と称する。
(目的)
第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
(1) インターネットによる情報提供サービス業
(2) インターネットを利用した広告及び宣伝に関する企画、制作及びコンサルティング業務
(3) デジタルコンテンツの企画及び制作
(4) ウェブサイト及びホームページの企画、立案、制作、運営、管理及び保守
(5) コンピュータソフトウェアの企画、開発、制作及び販売
(6) インターネットによる通信販売
(7) イベントの企画及び運営
(8) 経営コンサルティング事業
(9) 前各号に附帯又は関連する一切の業務
インターネットに関する事業が(1)から(6)まで並んでいます。
パッとこの目的を見たら、「アフィリエイトなどの事業(広告事業)が主で、それの付随事業としてWebサイトの構築や保守、通販などをやっている(もしくは、これから始める)のかな?」と考えるでしょう。
逆に、例えば「投資業」や「建築業」などは書かれていませんで、この法人では行うことができません。
2. 目的(事業目的)を書く際のポイント
2-1. 今後、行う可能性の高い事業を書いておく
- (8)経営コンサルティング事業
インターネットは集客の要と言っても過言ではありません。
依頼主の集客を改善できれば、経営が改善されます。
経営が改善され、人間関係ができれば、それ以外の相談を受けるコトになるのは必然です。
そうした場合、「(8)経営コンサルティング事業」を事業目的に含めていることで、インターネットと直接関係のない部分まで業務として携わることができるようになります。
2-2. 必ず「前各号に附帯又は関連する一切の業務」を書く
- (9)前各号に附帯又は関連する一切の業務
これは魔法の言葉だと思ってください。必ず、忘れずに書いておきましょう。
この言葉が書かれていれば、「(1)から(8)までの目的を達成するため、(1)から(8)に書かれていない事業を行う場合がある」と解釈されます。
例えば、コンサルティング業務の一環として「Webサイトの作り方教室」のような教育事業を行うかもしれません。
教育事業は目的に書いていませんが、「目的を達成するための事業」として解釈できますよね。
会社の入口に社員用の自動販売機を置いたら、そこから売上が上がりますが、これも各種事業目的を達成するための事業として解釈できます。
ここに注意!
今回の例であれば、例えば教育事業が収入の大部分を占めるような状況になった場合には、「付随業務」ではないので定款の修正が必要になるかもしれません。
なぜ「かも」なのかは、次で説明します。
2-3. 誰が「目的(事業目的)」に含まれているかを判断するのか
「目的(事業目的)」に含まれていない事業を行ったとしても、会社法等による罰則規定はありません。
前述のインターネット関連事業を行う会社が、「建築業」を行ったら誰の目から見ても明らかに違反です。
ただ、そうした極端な事業はなく、あなたが関連事業であることを説明できるのであれば、咎められることは基本的にありません。
「誰かが常に監視している」または「決算などでばれる」ということは、極端な場合を除いてあまりあり得ません。
つまり代表のあなたの気持ち、考え方次第の部分が非常に大きいのです。
3. 事業目的のサンプル
これから法人を設立される方を想定して、事業目的のサンプルを業種別に作成しました。
そのままコピーしても構いませんし、コピー後に編集しても構いません。あなたの事業に合致しているかどうか確認してくださいね。
3-1. インターネット関連事業
- インターネットに関する総合コンサルティング業務
- ホームページ、ウェブサイトの企画立案、制作及び保守に関する業務
- ホームページ、ウェブサイトの企画制作並びに運営管理
- インターネットのコンテンツの企画・制作・運営
- デジタルコンテンツの企画、立案、制作、配信、販売
- インターネットを利用した各種情報提供サービス
- インターネット等での通信販売業
- インターネット上のショッピングモールの企画、開設、運用及びそれらのノウハウの提供
- インターネットでのサーバの設置及びその管理業務
3-2. 物品販売(物販)事業
- たばこ、喫煙具並びに酒類の販売 ※要免許
- 衣料品、衣料雑貨品、日用雑貨品、アクセサリーの販売及び輸出入
- 衣料品、日用品雑貨、洋品雑貨、民芸品、美術品、工芸品、インテリア小物の販売及び輸出入
- 家庭用電化製品の販売
- 寝具、貴金属、宝石、家具、日用雑貨品の販売及び輸出入
- ハンカチ、タオル等のギフト商品の製造、販売
- 服飾雑貨、装飾雑貨の企画、製造、販売ならびに輸出入
- 雑貨の販売及び輸出入
- 衣料雑貨品、洋品雑貨、日用雑貨品の企画・デザイン・販売並びに輸出入業
- 日用雑貨、衣料雑貨、服飾雑貨、洋品雑貨、装飾雑貨等の販売、輸出入
3-3. 飲食店関連
- ○○料理店の経営 ※○○は国名
- レストラン経営
- 料理教室の経営
- インターネットを利用できる喫茶室、飲食店の経営
- 飲食店の経営、企画及び経営のコンサルティング
- 喫茶、和洋食堂の経営及び仕出し弁当の製造、販売
3-4. 各種教室・教育事業
- 各種資格取得講習会の主催及び通信教育事業
- ホームヘルパー、介護福祉士、ケアマネージャー育成のための研修及び養成に関する事業
- デザイン及び写真をはじめとする各種教室の企画、運営
- 木工教室、アウトドア教室、クラフト教室の経営
- ダンス、体操等のスポーツ教室の経営
- 英会話教室の経営
- パソコン教室の経営
- パソコンスクール、カルチャー教室等の開設指導および経営
- パソコン教室の運営並びにこれらに関するコンサルタント業務
- コンピュータに関する講演会及びセミナーの開催
- 生け花、香道等の日本伝統文化に関する講習会の企画・運営
3-5. 各種コンサルティング事業
- 経営コンサルタント業
- 企業の経営に関するコンサルティング
- ○○事業に関する経営コンサルタント
- 環境保全に関する調査及びコンサルタント業務
- 教育事業に関する企画、調査、運営、受託、並びに経営コンサルタント
3-6. リサイクルショップ ※要古物商許可
- リサイクルショップ店の経営
- 古物営業法による古物商
- 古物の仕入並びに販売
- 有料道路通行券、航空券、乗車券類の受託販売
- 切手、葉書、収入印紙の販売業
- 映画・コンサート・旅券等の各種チケットの売買に関する業務
- 古物の仕入並びに販売に関するコンサルティング
3-7. 不動産に関連する事業
- 不動産の売買、仲介、斡旋、賃貸及び管理
- 不動産鑑定業及び不動産に関するコンサルティング
- オフィスビル、マンション、アパート等不動産の管理、賃貸、売買、仲介
- オフィスビル、マンション、アパート等不動産の管理、賃貸、売買、仲介に関するコンサルティング
3-8. 自動車整備、新車・中古車販売 ※必要に応じ古物商許可
- 古物営業法による古物商
- 自動車整備事業
- 新車、中古車販売業
- 自動車、中古自動車等車両の販売、リース業
- 中古自動車、中古自動二輪車、中古自転車の販売、輸出入、レンタル、リース及び整備
- 自動車用品・自動車用付属品の販売及び輸出入
3-9. 各種サロンなどの経営
- 理美容院の経営
- ビューティサロン、エステティックサロンの経営
- マッサージ・按摩・針灸業
- 按摩、マッサージ、指圧、鍼、灸の施術所の経営
- リラクゼーションサロンの経営
3-10. 介護などに関する事業
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく一般相談及び特定相談支援事業
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく移動支援事業
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく地域活動支援センターの経営
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく福祉ホームの経営
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく地域生活支援事業
- 介護保険法に基づく指定居宅介護支援事業
- 介護保険法に基づく居宅サービス事業
- 介護保険法に基づく介護予防サービス事業
- 介護保険法に基づく地域密着型サービス事業
- 介護保険法に基づく地域密着型介護予防サービス事業
- 児童福祉法に基づく障害児通所支援事業
- 児童福祉法に基づく障害児入所施設の経営
- 介護用品及び介護機器の販売
- 一般乗用旅客自動車運送事業及び特定旅客自動車運送事業
3-11. 保険代理店業
- 損害保険代理業
- 自動車損害賠償保障法に基づく保険代理業
- 各種保険の募集に関する業務及び締結の媒介に関する業務
3-12. イベント企画、派遣、運営業務
- 各種イベントの企画、制作、運営、管理
- 各種イベント、展示会、キャンペーン等販売促進に関する行事の企画、立案、会場設営、実施運営作業の請負業務
3-13. それ以外
こちらのwebサイトで、過去の登記事例(適格事例)から会社目的を検索することができます。
○会社目的検索(定款・登記記載目的事例検索サービス)
4. まとめ
定款に記載する重要な事項の1つである「目的」は、あなたの会社が行うことのできる事業を決める大切な事項です。
一言一句、間違うことの無いよう慎重に決めましょう。
目的として書くべき内容を大雑把に3つに分けると、
- 設立する法人で行おうとしている事業
- 将来的に行う可能性のある事業
- 前各号に附帯又は関連する一切の業務
となります。
目的は多すぎると、

と不安に思う可能性があります。
上記の3つをよくよく考え、10項目を目安とし書くようにすると良いでしょう!